【組織運営】軍隊式マネジメント – 戦場の指揮官から学ぶ


先日、購入した日経ビジネス(9.13)から、「組織運営」に関する興味深い記事があったので、紹介しておきます。欧米企業が軍隊からリーダーシップや組織運営のノウハウを学び始めたという内容の記事で、英国海兵隊式と米国陸軍式の組織運営に関する内容が書かれており、大変興味深い内容でしたので、紹介しておきます。

概要

今、企業が注目しているのは、体力や忍耐力といった軍隊の表層的な強みではなく、戦場という極限状態で個々人に組織全体の目的に沿った行動を確実に取らせる独特のリーダーシップであるということです、

その中の実例として、元英国海兵隊の将校らが99年に設立した英コンサルティング会社のマッキーニーロジャーズと、米陸軍士官学校のウエストポイントのリーダーシップや組織運営に関する内容が描かれています。この2つを対立構図として、編集してみました。

時代とともに軍隊も変化

まずは、少し背景を説明しますと、かつての軍隊では、部下が上官の命令に絶対服従するという関係が当たり前だった。しかし、欧米では1980年代以降、軍隊におけるリーダーシップやコミュニケーションが様変わりした。その理由は次の2つ。

1.戦争の形態そのものの変容

アフガニスタンやイラクのように神出鬼没のテロリストと対峙する機会が増え、その結果、部隊トップがあらゆる情報を吟味して現場に命令を出すのは難しくなった。前線の兵士に判断を委ねながらも、全体としての統率を維持できる組織運営術が求められるようになった

2.従来型のリーダーシップが軍隊の現実に適さなくなってきた

欧米諸国の兵役は徴兵制から公募制への切り替えが進んだ。軍隊が義務でなくなり、生活レベルが向上した先進国の軍隊では、上官が兵士に高圧的な命令を出しづらくなっている。

また、他国に赴いてのテロリスト殲滅という作戦行動は、祖国防衛などと比べると大義を見出しにくく、兵士のモチベーションを高めるのが難しい。一方的に命じるのではなく、自発的な行動や判断を引き出す方法が重視されるようになった

こうした背景から欧米の軍隊は過去20年ほどの間、リーダーシップの研究を進めてきた。現場への権限委譲を求める動きは、企業でも同じだ。インターネットの普及で判断に迅速さが求められたり、情報過多に陥って経営トップにあらゆる決定を委ねるのが困難になったり、という状況が現出したからだ。

英国海兵隊式と米国陸軍式

簡単に表にまとめると次のような内容になります。

英国海兵隊のリーダシップの特徴は「ミッション」と「制約条件」の2つを、作戦に関わる全兵士に浸透させる点にあります。

・ミッション : 組織における最終目標を周知する

・制約条件 : そこに至るプロセスでの諸条件

これにより、前線の兵士は自由な発想でミッション達成への道筋を考えるわけです。

米国陸軍では、「Be Know Do」という3つの要素を掲げています。

・Be : 忠誠、義務、尊敬、無私の奉仕、名誉、高潔、個人的勇気の7項目

・Know : 「対人的スキル」、「概念的スキル」、「技術的スキル」、「戦術的スキル」という4つのスキル

・Do : 「影響」、「実施」、「改善」という3つの行動

また、「Be Know Do」と並んで米国企業がこぞって参考にしてるのが、「AAR(アフターアクションレビュー)=事後検討会」という自主的討議で、ベトナム戦争以降に、陸軍のあらゆる階層で戦闘や訓練を振り返るために実施されるようになった。

兵士は階級に関係なく自由に参加でき、発言が認められている。記憶が鮮明なうちに開いて、特定の活動における組織の強みと弱みの双方をあぶり出していく。その中で、AARのポイントとして、米軍流のPDCAサイクルは以下の通りです。

米ウエストポイントは、米フォーブス誌での「米国の優れた大学」で昨年、ランキング首位となった大学であり、また米調査会社ギャロップが今年7月に実施した組織別の信頼度ランキングでも2位の「中小企業」や3位の「警察」を抑え、「軍隊」がトップになり、欧米では軍隊が企業や市民により近い存在であるため、最新の組織運営やリーダーシップの方法論が次々に企業へ転用されています。日本企業はこうした面でどうしても遅れがちになると記事では書かれています。

最後に

IT業界においては、米軍からの払い下げの技術を米企業が活用し、ネット業界でのセキュリティを守っている。今回は、組織運営の手法を企業運営に取り組み、競争力を強化している。良いと思う仕組みを迅速に取り入れ活用していくスタイルは学ぶべき点だと思います。

日本では、ネット業界でグルーポンモデルが持てはやされ、40以上ものグルーポンモデルのビジネスが日本で立ち上がっているのだが、事業運営はモデルだけの話なんだろうか。その背後にある企業理念や組織運営といった手法に目を向けることで、その本質が見えてくるかと思います。

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